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もっとも個人的なものが、最も普遍的なものとなる。
芸術や文学の世界では、しばしば、この反転が起こります。徹底的に個人的な思いを追求していったとき、そこに、非常に多くの人が「自分自身」を見いだすのです。
ゲーテの「若きウェルテルの悩み」は彼自身の若い日の悲恋を投影して描かれた小説ですが
この、ゲーテの個人的な熱情と悲哀が遠く時代を隔たった現代になっても色あせず私達の心に共感を呼び起こします。この、私達が感じる共感自体も、非常に個人的なものです。個人は一人一人、大きく違っているはずなのに、誰の気持ちとも違うはずの自分の気持ちが、本の中に著されていて、それが他の人にも個人的に共鳴する、というのはよく考えてみると、なんとも不思議なことです。
水瓶座の人と話をすると、よく「世界」「宇宙」という言葉が出てきます。
水瓶座の人の目は、宇宙船についているような目です。人類のことを考える時も、空の上から俯瞰しようとするようなところがあります。これは、水瓶座の人の優れた客観的論理性を示しているのですが、そのために、人からなかなか理解されないこともあるようです。
広さ、大きさ。
水瓶座の人の視野は、広大で、時空を越えます。ですから、非常に個人的な感情や体験が、ときどき、とても下らないことのように扱われてしまいます。
この下半期は、水瓶座の人にとって、ちょっと不思議な時期となるかもしれません。
家族とか、過去の体験など、自分にとってもっとも「小さな単位」のことが、もっとも大きな意味を持っているからです。
これは「小さくまとまれ」とか「外に出るな」とかそんな意味ではありません。この時期大きく外に打って出る人もいるでしょうし、世界を外側に押し広げていく人もいるはずです。でも、そんな活動のなかでも、「小ささ」に属する事が大切なのです。
個人としての小さな感情とか、過去に体験した自分だけの出来事とか、どうしてもできなかったこと、なんとしても欲しかったもの、そんなものが、きっかけとなったり、足がかりとなったりします。
水瓶座の人は、他人と自分とを差別しません。「公共」「公平」という言葉がしっくり馴染む星座です。
でも、同時に、水瓶座は「自分」というものをゆるぎなく持った星座です。空気を読むとか、嫌なことも我慢してみんなに合わせるとか、そういうことが徹底的に苦手なのです。
この時期はそんな「徹底的に自分である」ということが、大事です。徹底的に自分でなければ、思いっきり迷うこともできないからです。
ちょっと奇妙な言い方ですが、この時期は、思う存分、悩んだり足踏みしたりすることができる時です。時には家にじっとこもってみたり、身近な人とだけしか会わなかったり、同じことをくり返しやってみたりするのかもしれません。この時期に「心置きなく」迷えるのは、過去数年間にわたる迷いがもうすぐで「完了」することがちゃんと解っているからです。
ちょっとフライングですが、2012年に、水瓶座の長いトンネルがとうとう、終わりを告げます。もう少しで脱出できる、と解れば
このトンネルの中でやっておくべきことを、気楽にやりきることができます。自分は一体、なんなのだろう。何がしたくて、どこに向かっていくのだろう。そんな迷いを、過去数年間抱えていた人にとって
ここは、出口があるからこそおもいっきり迷える、大切な「熟成」の時期にあたっているのです。
時期的なことを少し申しますと、6月からすでに、引っ越しの計画が持ち上がったり、家族の誰かが大きな選択をしたりと、「いつもの環境」に変化が生じる気配があります。
7月はとても楽しいことが多く、かつて感じていた迷いもクリアに晴れているかもしれません。創造的で、貪欲に好きなことをしていける時期です。
8月から9月中旬は、雑多な忙しさがあるときです。色々な方面に力を貸したり、ややこしい問題を解決していったりすることになりそうです。疲労をため込んでいた人は、体調を崩しやすい時期でもあります。ゆっくり休養をとるのに適したタイミングです。
9月下旬から11月上旬は、人間関係に熱さがあります。新しい出会いがあったり、摩擦を恐れずに本音でぶつかっていく事が大切です。とはいえ、短気を起こして、弾みで望まぬ結果に至らないよう、注意は必要だと思います。あくまで、距離を縮めるために、気持ちをぶつけ合うのだ、ということを信じる勇気が大切です。
11月中旬以降は、ちょっと不思議な時期となります。誰かから多くの力を借りる事になるかもしれませんし、誰かに力を貸すことになるのかもしれません。大切なものを受け継いだり、失われそうなものに命を吹きこむような任務を引き受けていく事になるかもしれません。
愛情関係については、力強さのある時期です。
カップルは、恋人を、より「身内」として感じることになりそうです。簡単にくっついたり別れたりする間柄ではなく、時間を重ねて人生の一部を共有する相手として、お互いを認め合えるだろうと思います。同棲や結婚など、生活をシェアし始める人も多いでしょう。
フリーの人は、6月と12月に、ちょっとミラクルな出会いの気配もあります。友人が恋人に変わる人もいるだろうと思います。
恋愛に追い風が吹くのは6月、8月、そして12月下旬です。8月は特に、過去に失ったと思った関係が、息を吹き返す気配もあります。
この時期は、あなたの「土台」が大きく育つ時期です。
物理的に、引っ越しや独立などで、環境が変わる人も多いと思います。あるいは、家族のメンバーが替わったり、新しい家族が増えたりするのかもしれません。
いずれにせよ、あなたの住むもっとも小さな宇宙(ルビ:コスモス)に変化が起こり、それに伴って、あなたの「心」も、大きく成長を遂げるだろうと思います。家族や居場所、今までやってきたことなど、もっとも個人的な世界が、思ったよりずっと大きな可能性を秘めていることに気づかされます。二次元でしか見えていなかった世界が、突然立体的に見えてきます。
幸運の青い鳥は、外の世界ではなく家の中にいる
という寓話が教えてくれるのは、決して「内側に小さくまとまれ」という寓意ではありません。本当に外に出て行くための力はとても身近に、あなたの手の中にちゃんとあるのだ、ということを
青い鳥は、教えてくれているのだろうと思います。