2012年魚座の下半期の占い

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渡り鳥は、遙かな距離を旅しますが、渡っていく場所はいつも、決まっています。
ある場所から、別の場所へ。
その旅は「旅」のようでいて、もしかすると鳥たちは、どちらへ渡る時にも「なつかしい場所に帰ろう」と思っているのかもしれません。

人間はいつも、2つの世界を頭の中に構成し、その2つを組み合わせたところに浮かび上がる、ホログラムのような時空に、住んでいるのかもしれません。
というのも、「世界」と言ったとき、たいていは2つの意味を想定すると思うのです。
そのひとつは「世界を股にかける」「全世界の人が驚いた」などのような、大きな世界です。
もうひとつは「自分の世界に入り込む」「生きる世界が違う」などのような、自分を取り巻く環境や関心事で作られる、規模としては小さな世界です。
この2つの世界を重ね合わせたところに、その人の住む「世界」が浮かび上がります。

「大きな世界」のほうは、漠然とイメージすることはできますがその全てに「行ってみる」ことは不可能です。
「大きな世界」のほうが現実に近いようでいて、本当は、これこそがバーチャルなのかもしれません。
一方、「自分が住む世界」のほうは、限られた要素でできていますが、これは確かに自分で経験し、熟知している世界ですから、頭の中だけにある「世界」のようでいて、実はこちらのほうが、現実的なのかもしれません。

2012年下半期、魚座はこの「大きな、未知なる世界」と、「慣れ親しんだ、自分の住む世界」とを、2つながら同時に、拡大する作業に着手します。
物理的に引っ越しをする人もいるでしょうし、遠く旅に出たり、留学したり、転勤したりする人もいるでしょう。
多くの人が海を越える体験をするでしょうし、そこで文字通り、世界の広さや大きさを学ぶことになると思います。
一方、自分の「居場所」は、家という建物だけでできているわけではありません。
もちろん、物理的に「家」を手に入れる人もいると思いますが、家族と呼べる人が増えたり、家の中を居心地よく改造したり、家の中に仕事を持ちこんだりする人もいるでしょう。
ハードとソフト、ものと人、活動と条件の全ての意味で、居場所が新たに生まれ、大きく育ち始めるのです。

遠い世界に出向くことは、冒険であり、経験を積むことであり、「学び」です。
一方、身近な世界を膨らませることは、慣れ親しむことであり、愛することであり、融合したり、根を下ろすことです。
この2つの作業は、一見、相反することのようでいて、実際は、どこかで強く結びついて
相互に、力を及ぼし合っているのかもしれません。

時期的なことをすこし申しますと、まず、6月から7月頭にかけて、今までヒートアップしていた人間関係を一つの落ち着いた形に着地させていくことになるでしょう。
この人間関係については、2011年の秋頃からずっと摩擦を繰り返していたり、プレッシャーを感じていた人も多かったと思うのですがここへきてやっと、あるべき形にたどり着きます。
結果的に「思い切ってぶつかっておいて良かった!」という感想を抱く人が多いはずです。
7月から8月にかけて、人から受けとるものが多い時期です。
贈り物をたくさん受けとったり、誰かから仕事や大切なものを「受け継ぐ」ことになるなど、心して受け止めなければならないもの、というのがありそうです。
この時期は非常に官能的な時期で、魅惑的な誘いも多いかもしれません。
9月から10月にかけて、「遠出」の気配が濃厚です。
前述のような「遠くへの旅」に焦点が当たります。
また、この時期から何かを勉強し始める人も少なくないかもしれません。
学校に通ったり、セミナーに参加したりと、外に向かって学ぶ意欲をぶつけていく時期です。
10月から11月は非常に忙しくなる時期でもあります。
大きな仕事を任されたり、思い切ったチャレンジを選択したりと、タフなパワーと強い意志を必要とする時期です。
11月は、少々物事の進みの遅い感じもあると思いますが、じっくり時間をかけて進めば、
思ったよりずっと遠くまで到達できます。
11月末、前述の「居場所」に関することで、重要な動きがあるかもしれません。
12月は、仲間との交流が活発になるでしょう。
様々な刺激を受けて、新しい目標を見いだす人もいるはずです。
年末は不思議と、「過去」に意識が向かうかもしれません。
しばらく帰っていなかった故郷に帰省する、という人も多いんじゃないかと思います。

愛情関係については、「家族」ということを意識する時期となりそうです。
恋人を家族に紹介したり、恋人と家族になる約束を交わしたり、あるいは、すでにいるパートナーとの間に、新しい家族となる子供ができたりと、何らかの形で「一つの生きる場を共有する」ということが恋愛の焦点に置かれる気配があります。
フリーの人も、興奮や刺激をくれる恋人ではなく、一緒に人生を歩いていける相手を見つけよう、という気持ちが強まるでしょう。
熱い情熱が燃えるということと、一緒に居場所を作っていくということとは、かならずしも、両立しないこともあります。
情熱は都合の悪いことを吹き飛ばしてしまいますが、居場所には、都合の悪いことも受け止める機能が必要です。
意識の焦点が切り替わるとき、人を見る目も変化するだろうと思います。
恋愛に追い風が吹くのは、8月から9月頭、10月です。

人間には「渡り鳥」のような習慣はありません。
ですが、よく考えてみると、多くの人が故郷に帰ったり、親族を訪ねたり、神仏に祈ったりするために、人生の中で何度もくり返される「旅」をします。
この「旅」には、渡り鳥のようにどこか、「懐かしい場所に帰る」という感触があります。
そうして旅から戻った後、再び続けられる「元の暮らし」が、不思議な具合に、生命力をとりもどしたかのように、生き生きと再生します。
そんなふうに、この時期の魚座の「遠い世界」と「自分の世界」もまた、互いが互いの命を蘇らせるような役割を持っているのかもしれません。