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たくさんの物語の中で
「本当に強い存在」として描かれるものは
ちいさかったり、優しげな様子をしていたり
一見、弱そうに見えることが多いようです。
いかにも大きくて強そうなキャラクターは
たいてい、最後に、
もっともバカにしていたなにかに負けてしまいます。
おとぎ話や小説は、人の心や現実世界の鏡です。
ですから、おそらく私たちは
「強そうなものが強いのではなく
弱そうに見えたとしても弱いとは限らない」
ということを
古来、普遍的な知恵として蓄えてきているようです。
未だにそうした物語が人の心を惹きつける所を見ると
この「知恵」は、
現代にもすこぶる有効に生きているのでしょう。
2010年下半期の牡牛座は
まさにそうしたことを経験するのではないかと思います。
もっとも弱そうなものが、もっとも強い。
あるいは
もっとも弱いものが、もっとも大きな力を発揮する、
そんな世界が広がっているようにみえるのです。
自分の性質の中で、
もっとも「ここが弱い」と自己否定してきた部分や、
苦手意識を持っていたこと、
自分に世話をかける相手、
逆に、自分が世話をしてもらっている相手。
どこか引っかかっていたり
敷居が高いと感じていたり
あるいは、負債を追わせたり負わされたりしていた
そんな対象が、
突然、強い輝きを帯びて、あなたの前に
新しい姿であらわれるのです。
コンプレックスが才能に変わったり、
緊張感が何らかの効果をもたらすのかもしれません。
涙や疲労が、誰かの愛を引き出すのかもしれません。
あなたが過去に傷ついた体験が
誰か身近な人の心を救うのかもしれません。
どんな形でかはわからないのですが
今まで、どこか低い評価を与えていたものが
あなたに不意に力を分けてくれたり
あなたの強みとなったりするだろうと思います。
この変化の「きっかけ」は、
若干、ネガティブなものにおもえるかもしれません。
たとえば、同僚が不意に転職して、その分の仕事をフォローしなければならなくなったり、
突然苦手なことを頼まれたり、
あるいは、苦手だと思っていた人と
一緒に行動しなければならなくなったりしたら
その時点では、喜ぶどころではないだろうと思います。
でも、そこからちょっと先に進んでいくと
このことがまさに「幸運」だったことが
わかってくるのです。
嫌だとばかり思ってたその人の中に
真の親友の顔が隠れているのかもしれません。
辛いだけの仕事だと思えていたのに
それが一転して、価値もやりがいもある仕事だと
わかってくるのかもしれません。
「ピンチはチャンス」
と言われますが、この時期はそれが、
あからさまに当てはまると思います。
まさに、「ピンチ」は見かけだけなのです。
その中に思い切って飛び込んでしまったとき
あなたは、外から見ていたのとは全く違う、
美しくてわくわくする世界を見いだすことになるでしょう。
この時期のあなたが出迎えるのは
いわば、1人の魔法使いです。
この魔法使いは、あなたがずっと抱えてきた
やっかいな持病や、見えない心の疲労を
すべて、治してくれることになっています。
ただ、魔法使いが魔法に使う「材料」は、
いちいちが、いかにも奇妙なのです。
たとえば、
シンデレラが舞踏会に行くために必要だったのは
カボチャと、ネズミでした!
たくさんの魔法の薬が、
無意味にしか見えない材料を混ぜ合わせて作られます。
現実に起こることもやっぱりそうで、
実に散文的な、くだらないことの積み重ねが
ふとした拍子に、
奇跡的な出来事を引き起こすことがあります。
この時期の牡牛座をとりまく「材料」と
それを混ぜ合わせた結果作られる「魔法」とは
その印象が、とてもかけ離れているのです。
具体的には、
職場を変える人もいるでしょうし
体に積もったものと真剣に対峙する人もいるでしょう。
日々の生活を一変するような習慣を取り入れたり、
誰かに思い切り時間と労力を費やす人もいるでしょう。
愛する人のピンチを救うことに全力を投じたり、
あるいは、自分の心にいつの間にか棲みついた、
いつもうれしいことをジャマしてくる怪物と
必死で闘って勝利する人もいるだろうと思います。
この出来事は、夏から初秋くらいのあいだに
一度、強いインパクトをともなって起こります。
そのあと、あなたは
その出来事を完遂すると何が起こるのか
を悟ることになります。
これは、つまり
あなたが実現したい夢と、夏のインパクトとが
どう結びついているのか、を悟るプロセスなのです。
時期的なことを少し申しますと、
まず、7月から8月中旬くらいまで、
冒頭から述べてきた「魔法」に関する
強いインパクトをともなった出来事が起こるでしょう。
これは、相当はっきりした出来事だろうと思いますが、
あなたの周囲には、
それに気づかない人もいるかもしれません。
ある程度プライベートな場でそのことが起こる可能性が
高いような気がします。
あるいは、他の人にはそれほど心にとまらなくても
あなたにとっては印象深い出来事、なのかもしれません。
いずれにせよ、この時期、
あなたの心の中で「いつもは触れない部分」が
大いに刺激を受けるだろうと思います。
8月下旬から9月上旬までは、
少し静かな、ゆっくりした時間が訪れます。
柔らかな楽しさの中、休息をとる人も多いと思います。
9月半ば以降、
あなたは「出会い」と「関わり」の世界に入っていきます。
だれか、1対1であなたと向き合う人が
この時期、目の前にいるだろうと思います。
10月に入ると、あなたとその人の関係は、
「醸成」期間を迎えます。
接触のインパクトを自分のものにするために、
濃やかで密やかさのある成長の時期に入るのです。
そして11月半ば、この「醸成」期間が終わり
ふたたび、あなたの魔法が動き始めます。
12月には、高い精神性を備えたすばらしいサポートが
受けられるようになるかもしれません。
魔法が単なるごまかしや気休めではなく
とても深遠で根源的な意味を持っていることに
はっと気づかされるかもしれません。
それに気づいたとき、あなたは
なにかを学ぶことやどこかへ旅することを
決意することになるかもしれません。
愛情関係については、
7月半ばまで「復習」のような状態だろうと思います。
この「復習」は、4月頃から続いているプロセスで、
2009年までに学んだことをもう一度
確かめるような流れの中にあるでしょう。
7月下旬になると、そんなおさらいは完結し、
新しい段階に入っていくことになります。
次に愛情を意識し、ゆたかに感じられるのは
9月上旬から年末、年明けまでの期間です。
この時期、あなたの「1対1の関わり」の場所に、
金星という愛の星がずっと滞在しています。
特に9月から10月は、情熱の星・火星も同座し、
あなたと誰かとのあいだに、
強い愛の流れる道筋を示してくれています。
あなたの愛情はここで活性化するとともに、
相手を救う方法を、学ぶことになるのかもしれません。
現実の中で真に必要とされ、
それによって自分自身をも救うことを
この時期、身をもって体験できるのだろうと思います。
なんのために、どういう魔法を使うのか。
その結果、何が起こるのか。
この下半期は、牡牛座にとって
まるで、魔法のプロセスそのもののようです。
魔法の計画を立て
魔法のレシピを準備し
自分で魔法をかけていくことになるわけです。
この魔法の目的は、人それぞれだと思いますが
おそらく、その根底で共通している点は
「今まで望みを妨げてきた何者かと対決し、退治する」
ということなのだと思います。
おそらく、年が明ける頃には
望みや夢それ自体の姿が
すっかり違ったものになっているかもしれません。
過去に思い描いていた望みの方が、
まるで悪い魔法だったような気がする人もいるでしょう。
年末になって、あなたは
一つの、具体的で建設的な目標と
それをサポートしてくれる誰かとともにあります。
この「目標」は、実は、目新しいものではなく
既に顔なじみのものだろうとおもうのですが
それは、かつてよく知っていた姿とは
全然違った輝きを放っているはずなのです。