2014年牡牛座の下半期の占い

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子供の頃、関東から東北へと転校したのですが
そのとき、最も大きく変化したのは「言葉」でした。
方言を理解できなかったり、
相手と同じ言葉で話せなかったりすることで、
自分が「よそ者」であることを感じ続けなければなりませんでした。
相手もまた、自分と同じ言葉を話さない相手を
「混じり込んだ異分子」として、遠巻きに見ていたようです。

「同じ言葉を話す」ということは、
その共同体に所属する上で、非常に大きな意味を持っています。
その土地の言葉を話すとき、私たちは「客人」ではなく
「土地の人」となることができます。
土地の人々に受け入れられるだけでなく
その土地が、自分自身にとっても、「ルーツ」の一つとなります。
「地元」は私たちの内面に深く根を張りますが、
生まれ育った土地以外の土地でも、
そこに「中の人」として受け入れられたとき、
自分自身のアイデンティティが、変化していくのです。

外国旅行中、偶然日本語を話す人に出会うと、
えもいわれぬ安堵を感じます。
同じ言葉を話す相手は、自分と同じ世界に根を持つ人です。
ゆえに、同じ言葉を話し合うだけで
そこに閉じた、あたたかい、守られた空間が生じます。
ある業界の中でだけ通じる「ジャーゴン」にも、
そうした効果があります。
お互いが同じ世界に住み、同じ観念を分け合える、
ということが、用いる言葉によってわかるわけです。

2013年から2014年前半にかけて、
牡牛座の人は新しい「方言」や「言語」を
身につける努力を重ねてきたのではないかと思います。
これはもちろん、比喩です。
新しい世界、初めて出会う人々、未知の集団に接し、
そこで用いられる言葉、価値観、考え方を、
ずっと吸収し、咀嚼し続けてきたのではないでしょうか。
2014年の後半から2015年の前半にかけて、
牡牛座の人々は、今まで習得したものを「使いこなす」ことにより、
上記のように、ある世界に受け入れられるようになっていきます。
新しいルーツ、新しい居場所を、
ここで、見いだすことになるのです。

「他者」同士であっても、充分
対話し、約束を交わすことは可能です。
でも、それだけでは心の深いところでの交わりは生じません。
他者としての信頼関係は築き得たとしても
「自分たちは同類である」
「自分たちが結びつくことによって守られる」
という感覚は、それとは別物です。
一方「同じ言葉を話す」ことは、
何の交渉もなければ、約束もありませんが
間違いなくそこに、心の結びつきでできた世界が広がります。
さらに、言葉は、それを用いる人の思考と深く結びついています。
用いる言葉が変われば、考え方も少しずつ、変化するのです。
ある新しい土地にゆき、そこの方言を話すようになれば、
その人は「その土地の常識」を少しずつ習得し、
自分のアイデンティティに加えていくことになります。
この時期の牡牛座の人はそんなふうに、
自分が創り上げ、あるいは入り込んだ共同体の中で、
その共同体の中にある思想や思念を
徐々に自分のものとしながら、変化していくはずです。
これは、引っ越しのようなことだけでなく
たとえば、新しい学校や会社に所属するとか、
新しい友達を得るとかいうときでも、すぐに起こることです。
「新しいお店を見つけて何度か通った」程度でも
新しい文化がわずかに入り込み、「自分の一部」になります。
牡牛座の人はこの時期、そんなふうに
「自分の住む世界」と「自分」とを
幾重にも結びつけていくことになるのだと思います。

時期的なことを少し申しますと、
まず7月、これまで経済的な問題を抱えていた人にとって、
その問題が解決する、スッキリした時期となるでしょう。
さらに、コミュニケーションが盛り上がるときでもあります。
2013年の中ほどからあなたが創り上げてきた対話の場が、
花開くように活性化するのです。
8月は人間関係に「熱」がこもります。
インパクトのある出会いに恵まれるかもしれません。
一方、人と摩擦が起こることもあるかもしれませんが、
身近な人たちが支えてくれます。
テクニカルな交渉事の中にも「情」の力を痛感する、
そんな場面もあるかもしれません。
9月から10月、人間関係のゴタゴタは収まり、
人との関わりは一転して、面白い展開を見せます。
ドラマティックな出会いや、人との交わりを
大いに楽しむことができるでしょう。
また、「人から力を借りること」「人の力を集めること」も
この時期の大事なテーマの一つです。
11月は、大事な用事を抱えて、
遠くまで誰かに会いにいくことになるかもしれません。
そこで、相手からさらに大事なものを受けとって
帰ってくる人もいるでしょう。
「授かるもの」がある時期です。
12月は、高い理想と目の前の生活とを、
自分なりのやり方で結びつけることができるときです。

愛情関係については、「自分をとりまく人々」のことを
大きく捉える必要がありそうです。
誰もが、生きていく上で避けて通れない人間関係を
自分のまわりに抱えて生きています。
自分と他人との違いをどう、処理するか。
他人に対する役割をどう引き受け、果たすか。
こうした、あまりキラキラしてはいないテーマに取り組むほど、
愛の世界に近づいていくことになるでしょう。
過去2年ほどの流れの着地点として、
この時期に結婚する人もいると思いますが、
それは「恋愛のゴール、恋の完成」ではなく、
「ともに生きる家族としてスタートする」意味を持っています。
世の中には、他人に見せびらかすために恋愛や結婚を望む人もいますが
この時期の牡牛座の人々には、
そうした浮薄な愛は無縁だろうと思います。
目の前に置かれた愛は、たいてい、散文的です。
外から見る「愛」のようにロマンティックではありません。
でも、その「ロマンティックでない日常の愛」の中に、
この時期の牡牛座の人は、素晴らしく豊かな世界を創り出せます。
2015年にかけて、頑丈なパートナーシップを「完成」させる人も多いはずです。
愛に追い風が吹くのは9月、
10月下旬から11月、12月中旬以降です。

人は、一人でいるときよりも、
他者と結びついているときの方が「強く」なります。
所属する集団や世界は、自分を守ってくれるものであり、
自分が守るべきものでもあります。
こうした世界は、巨大になり、閉じてしまうことで
その外側の人々に悪影響を及ぼすこともあります。
でも、運営のしかたによっては、
開かれた、明るい、誰もが安らげる場にもなり得ると思います。
牡牛座の人々は、どっしりした安定や心地よさを愛しますが
決して、外の世界に対して閉じてしまうことは
望んでいません。
あなたがこの時期見いだす世界、または創り出す世界は、
あなたのまわりの人々にとって、安らぎの場であると同時に、
真に生き生きした活躍の場ともなるだろうと思います。