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「全体を眺める総論」
『ハイジ』という児童文学をご存じでしょうか。または、『アルプスの少女ハイジ』というアニメ作品に親しまれた方も少なくないかもしれません。
生まれてすぐに両親を亡くし、叔母さんのデーテに育てられたハイジは、ある日突然、山に住むお祖父さんのもとに連れていかれます。デーテは街に出て働くことになったので、足手まといになるハイジを、お祖父さんに預けたのでした。
ハイジは山とお祖父さんとの生活をすぐに気に入りました。デーテに持たされた服を脱ぎ捨て、自然に親しみ、彼女は新しい自分の生活を生き生きと創り上げていくのです。
牡牛座の人々にとって2015年下半期は、そんなハイジの世界によく重なる気がします。たとえば、2012年頃から2015年半ばにかけて、ハイジにとってのお祖父さんにあたるような「ある人物」と出会い、関係を紡いできた人も多いでしょう。その「出会い」を経て、2015年下半期から2016年前半、デーテが押しつけた暑苦しい服を脱ぎ捨てて、自分の好きなように飛び回れるようになるのです。
私たちは、さまざまなものを他者から受けとります。「これを着なさい」「これを使いなさい」など、物理的な押しつけもありますし、「こう考えるべきです」「これに価値があります」など、価値観を背負わされてしまうこともあります。「背負わされたもの」を、私たちはしばしば「あたりまえのこと」と受けとり、重みや苦痛に気づかぬまま、耐え続けてしまいます。
そんな、無意識に背負わされた重荷と向き合い、取り外していけるのがこの2015年下半期です。「背負わされたもの」と対決し、打ち克ってゆくほどに、本来自分が持っているゆたかな創造性や愛情、情熱、憧れなどを、奔放に、のびのびと表現できるようになっていきます。夏、公園で水遊び用の噴水を見つけた幼い子どもが、パッと靴を脱ぎ捨てて駆けだしていく、そんな「自由」を得るのです。
一方、人から託されたものこそが、かけがえのない大切な力として自分を守ってくれていることに、突然気づかされる人もいるかもしれません。これは「背負わされたものと対決し、脱ぎ捨てる」のとは逆のプロセスです。要らないと思っていたもの、軽んじていたものが、突然「とても貴重で、必要不可欠なもの」だとわかる、価値観の大転換です。この場合もやはり、託されたものや背負わされたものとの対決が起こっていると言えるでしょう。対決の結果、それを脱ぎ捨てるべきなのか、自分の意思でもう一度選び取るべきなのかが、わかるのです。
今までは親が食事を作ってくれていたけれども、これからは自分が作らなければならない、という状況に置かれ、料理に取り組んでみたらそれがとても面白くなり、さまざまに工夫して料理することが生きる喜びの一つとなった、といったような展開も考えられます。これまで当たり前のように使わせてもらえていたリソースから「卒業」したところで、自分の中に眠っていたクリエイティブな才能を引き出されるのです。
『ハイジ』ではもうひとつ、「もの」と自由との物語が語られます。それは、足が不自由で車いすに乗っているクララの物語です。車いすが壊されたとき、クララは自分で立ち上がるきっかけを得ます。彼女を守っていたはずの車いすは、実は、彼女を縛り付けていた足枷(あしかせ)だったのです。
2015年下半期、もし、あなたが何かを失ったとしても、それはおそらく、クララの車いすのようなものです。それが存在したせいで、これまで表現することのできなかった「自分」に、この時期、新たに出会えるはずです。
「自分自身のこと(心、身体、夢、成長)」
自分のことを妙に客観視することなく、自然な主観と実感を通してありのままに捉えられるようになっていきそうです。
特に、隠れた悩みや過去との葛藤を解決するために、これまで必死に「正しい答え」を探そうとしていたなら、そうした「正しい答え」「特別な答え」という幻想から解放されます。自分の体験やごくありふれた日常の中にこそ、その悩みの出口が見つかりそうです。
「他者のこと(人間関係、役割、ギフト」
2012年頃から、人間関係において大きな緊張を感じつつ、努力を重ねてきた人が多いはずです。一対一の関わりにおいて、じっくり時間をかけて結びつきを育てたり、または、少々取っつきにくい相手との距離をじわじわと縮めてきたりした人もいるかもしれません。こうした「関わりへの取り組み」には、ストレスもあったはずですが、2015年半ばを過ぎる頃には、自分が成し遂げたことの意味と価値に、深く満足できるでしょう。
2015年半ば以降は、素晴らしい愛に恵まれる時期です。特に、相手と自分との間に強くしっかりした橋ができあがったところで「どんどん行き来して、踏み込み合う」関係が始まります。最初は緊張や遠慮もあるかもしれませんが、時間が経つにつれ、どんどん安定感と厚みが増していきます。
ここで育つのは、言わば「恩義」「お陰様」「義理人情」のような、計算のできない深い心情の結びつきです。何らかの責任をシェアすることで、ある特定の人物との結びつきを強めていく場面もあるかもしれません。ここで育った深い関わりは、この先あなたをしっかりと守ってくれます。
または、誰かが心血注いで育てたものを「受け継ぐ」ことになるかもしれません。
「外の世界(仕事、勉強、社会的な活動、目標)」
行きたい場所があるのに、心の中に不思議なブレーキがかかって、踏み出せない。もしそんな状況が過去数年間続いていたなら、このあたりから「飛び立てそう」な感じが出てきます。すぐに旅立つことができなくとも、とにかくブレーキだけは「解除」されるはずです。
夢や目標は、この時期「一皮むける」ことになります。私たちは、強く何かを願いながら、その一方で「何のためにそんなことを願っているのか、実はわかっていない」場合があります。2013年頃からずっと夢見てきているけれども、「実際、それで何を叶えたいのか、それが何になるのかわからない」という状態だったなら、2015年下半期から2016年前半にかけて、それがはっきりわかり始めるかもしれません。
2015年下半期は「具体的な目標をバリバリ追いかけて結果を出す」というよりは「思いきり、やりたいようにやる」時期です。やりたくないことは思いきって放りだしてしまう勇気も、おそらく、必要になるはずです。
「中の世界(居場所、身近な人々、所有、土台)」
この時期、「居場所」「家族」「地域コミュニティ」など、あなたの日常を支える場が、とても大きな転機を迎えます。下半期全体を通して、あなたは身近な人々との関わりにどっぷり浸かることになるでしょう。中途半端には終わらせられませんし、誰かに任せてしまうことも難しいだろうと思います。一時的に、仕事や対外的な活動を離れることも視野に入れなければならないかもしれませんが、その結果、何かを捨てることにはならず、むしろ、外に出て活躍するための「盤石の土台」を整えることができるはずです。
逆に、プライベートではなく仕事や外向きの意味で「場」を創り上げる人もいるかもしれません。たとえば、独立して仲間を集め、自分のお店やオフィスを起ち上げる、などという展開です。その世界をあくまで「自分自身の世界」として捉え、築き、育てていくことになるでしょう。
「場を作り、土台を強化する」動きは、遅くとも10月頭までには収束します。9月末から10月にかけては、たとえば「みんなのために食事を用意していたキッチンを出て、好きな絵を描くためのアトリエに入る」ようなシフトが起こるかもしれません。10月からは自分自身の時間を作ることが大きなテーマとなります。好きなこと、自分自身の喜びを追求していく時間へと入っていきます。
「恋愛について」
「自分は恋愛には不器用だ」と自認している人も少なくないわけですが、恋愛上手だろうが、恋愛ベタだろうが、恋愛することは可能なはずです。そして恋がうまくいくかどうかが必ずしも「器用か不器用か」では決まらないのも、恋愛の真実です。
2015年下半期は、牡牛座の人々にとって間違いなく「恋愛の大活性期」と言えます。強い追い風がビュウビュウ吹いていて、それに半ば突き飛ばされるような形で、愛の世界に飛び込んでいくことになるのです。
愛の追い風が吹いているからといって、「恋愛がとんとん拍子にうまくいく」わけではないかもしれません。かえって、不器用な足取りに強い風が吹きすぎたせいで、よたよたしてしまう可能性もあると思います。でも、前述の通り、「恋愛を上手に扱えるから、恋がうまくいく」とは言えないのです。この時期は、不器用でも、たどたどしくても、自信がなくても、愛について行動してみる価値があるのです。
この「愛の大活性期」は2016年の秋口まで続いていく長丁場ですが、特に2015年9月末から11月にかけては、ぐりぐりと幾重にも強調された愛の季節となっています。この時期に出会って恋をする人もいれば、かねてからの恋愛が身を結ぶ人もいるでしょう。また、子どもを授かる人も多いだろうと思います。
「タイミング」
6月下旬から8月上旬は、外を出歩く機会が増えそうです。コミュニケーションも活発になり、議論など熱い対話が交わされる場面もあるでしょう。そうした対話が刺激となって、向学心に火がつく気配もあります。
8月から9月は、一気に環境が変わる時期です。引っ越しや家の建て替え、リフォームなど、物理的な住環境が変化するかもしれません。あるいは、家族構成が変わったり、家族の誰かが人生の転機を迎える可能性もあります。秋口までは、身近な人にどっぷり関わる必要がありそうです。
9月末から11月前半にかけては、好きなことにとことん打ち込めるときです。クリエイティブな活動には強い追い風が吹きます。また、愛に溢れる時期でもあります。「自分」をどんどん表現したいタイミングです。
11月後半から12月は、非常に忙しくなるでしょう。片付けなければならないミッションが山積みになる一方で、「どうしたら気持ちよく、いいリズムで生活していけるのか」という問題意識も高まります。自分に合った条件を手に入れるための交渉を始められます。積極的な調整により、自分自身のニーズに応えるべき時期です。