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「全体を眺める総論」
神話や物語の世界に「貴種流離譚(きしゅりゅうりたん)」というジャンルがあります。
神様や王様の子どもとして生まれた赤ん坊が、ある複雑な事情により、遠くにつれてゆかれて成長し、旅に出る、といったストーリーです。主人公は高貴な血を引くにもかかわらず、それを知らないままに、さまざまな偉業を成し遂げながら旅をするのです。物語の最後ではたいてい、主人公がもともとの親のいる場所にたどり着きます。
古事記のスサノオノミコトの物語、ギリシャ神話におけるオイディプス王の物語、童話『みにくいアヒルの子』など古くからあるものの他、現代の漫画やアニメ作品などにもよく見られる設定です。「貴種流離譚」において、「自分」を知るための旅は、自分のルーツを知るための旅です。自分が本来あるべき場所を知ることが、自分自身を知ることと同じ意味を持っているのです。
2015年下半期の乙女座の星回りを見ると、そうした「貴種流離譚」のような世界が思い浮かびました。
2015年の下半期、乙女座の人の多くが、「自分が居るべき場所」と「本来の自分」を、大きな一つのテーマと捉え、それを探すための旅に出るだろうと思うのです。
そして、おそらく2016年半ばに「自分」を、さらに、遅くとも2017年頃までには、「ルーツ/いるべき場所」を、それぞれ、探し当てることになるはずです。
2015年下半期、あなたの星座に木星という星が入ります。
この星は古くから「吉星」とされているため、星占いの記事の多くが「幸運期の到来」と書きます。ですが、私の経験上、12年に一度の木星の時間は、決して「幸運」というふわふわした苦労のない言葉で表現できるようなものではないように思われます。
むしろ、木星が巡ってくる時期は、その人の可能性の畑がすみずみまで耕され、ここから12年をかけて育てていける幸運の種を蒔く、「耕耘期」です。勢いを失った古い苗が引っこ抜かれ、自分を守ってくれているようで実は邪魔をしていた大岩が取り除かれます。耕され、種が蒔かれた直後の風景は「何にも無い、更地」に見えることもあります。
乙女座に木星が滞在する2015年8月11日から2016年9月9日までの間、今までと全く違う世界に飛び込む人もいるでしょう。生まれ変わるような経験をする人もいるでしょうし、劇的な「イメージチェンジ」を遂げる人もいると思います。また、引っ越しや転職、結婚や出産など、そうしょっちゅうは起こらないような大きなイベントが発生する可能性も高い時期です。
いずれにせよ、そのような出来事を通して、あなたは「新しい自分」「本来の自分」を発見することになると思います。
2015年下半期が始まる段階で、自分自身に十分満足している人もいるでしょう。「今の自分でよい」と感じている人にとって、生まれ変わるかのような大きな変化は、あまり好ましくないと思えるかもしれません。でも、この時期の変化は決して「自分ではないものになる」ようなことではありません。そうではなく、自分に対する誤解を解いたり、ムリをしていた部分を「解除」するような、解放のプロセスなのだと思います。
さらにこのプロセスにおいては、「出会い」「一対一の関わり」も、とても重要です。2015年下半期から2016年の夏にかけて、あなたは誰かからかなり大きな影響を受けるでしょう。
「貴種流離譚」において、主人公の生い立ちや真実を告げてくれる人物は欠かせない存在です。
2015年下半期以降の乙女座の人々もまた、いろいろな人と出会い、対話し、あるいは深く関わるところから、「自分とはどんな存在なのか」を確かめていくことになるはずです。
その関わりは、あなた自身だけではなく、関わっている相手をも変えてしまう影響力を持っているかもしれません。
「自分自身のこと(心、身体、夢、成長)」
心身共に、大きく変わる時期です。「成長期」であり、「拡大期」なのです。
身の回りにあるものやこれまで愛好してきたものが、何となく子どもっぽく感じられたり、味気なく思えたりするならそれは「変革期」の合図です。精神的な成長とともに、価値観や嗜好も、勢いよく変化していくのです。
また、物理的な変化もビビッドに起こりやすい時期です。ヘアスタイルやファッションなどをがらっと変える人もいるでしょうし、体質や体型が大きく変化する可能性もあります。特に、この時期(木星の巡る時期)は、肥(ふと)る傾向もあると言われます。他人にどう見られるかということよりも、「どんな生活をし、どんな姿でいるのがもっとも充実できるのか」を、まっさらな状態から考えられるようなタイミングです。
9月から11月前半までの中で、特に「自分自身を変えたい」「美しくなりたい」という気持ちが強まるかもしれません。何かを変えたいけれど、何から始めたらよいかわからない。という人は、思い切って「形から変えてみる」のも面白そうです。
特に9月半ば、想定外の「新しい自分」に出会えるかもしれません。ここでの変化は、「奇跡」の感触を帯びています。
「他者のこと(人間関係、役割、ギフト」
この時期「他者」はあなたに、あなたが自覚していないあなた自身のことを、たえず教えてくれます。また、あなたの懐にどーんと飛び込んで来る「他者」もいるかもしれません。
大事な出会いに恵まれる可能性の高い時期ですが、その出会いは、お互いの外側にあって距離を置いて触れあうようなものではなく、いきなり相手の世界にどーんと入り込んでしまうような、また、一度相手の世界に自分をどっぷり預けてしまうような、そんなダイナミックな雰囲気に満ちています。
人から学ぶことが多いでしょうし、誰かのやり方を完全に真似てみるところから新しい自分を発見する人もいるはずです。
9月下旬から10月頭にかけて、かなり大きなギフトを受けとることになるかもしれません。
「外の世界(仕事、勉強、社会的な活動、目標)」
2012年頃から地道に続けて来た「勉強」があれば、9月中ほどをもって一段落しそうです。「学びきった!」という達成感を味わえそうです。
難しい勉強に挑戦したり、理解しがたいことを理解しようと努力したり、あるいは、見知らぬ人々との距離を縮めようと頑張ったりしてきた人にとっては、長いトンネルを抜けて目指した場所にたどり着けるようなタイミングです。
2015年夏から2016年夏にかけての一年の中で、仕事や勉強、社会的活動に関して大きな「飛躍」を遂げる人も少なくないと思います。
ずっと願ってきたことが叶ったり、全く知らない世界に飛び込んだりできるような時期なのです。
「中の世界(居場所、身近な人々、所有、土台)」
9月半ば以降、「居場所」を作る時間が始まります。このプロセスは2017年頃まで続いていきます。家を建設したり、新しい家族を得たりする人もいるでしょうし、『みにくいアヒルの子』のように、自分が所属できる場所を探しに旅に出る人もいるかもしれません。
乙女座の人々は、心地よい空間や生活の充実を重視する傾向がありますが、こと「居場所」に関しては、あまり固定的に考えないようです。引っ越しや変化を伸び伸びと楽しみ、どんな場でも自分なりの生活空間を知的に創造する才能に恵まれています。
「人生の旅の中で、自然に見つけるオアシス」のような場所が乙女座の人の「居場所」です。そうした場を見つけるための、時間をかけた、ゆるやかな道行きがこの9月から始まります。
8月から11月頭にかけては、経済的に面白い動きのある時期となっています。お金の動きをしっかり把握し、「本当の自分」になるための原資を作る人もいそうです。
手持ちのものが大きく変化するとしたら、それもまた、あなた自身の変化の表れです。
「恋愛について」
2015年下半期は、あなた自身が大きな成長を遂げるため、愛の形もさまざまに変容を始めます。人との関わり方が変わりますし、人を見る目も変わっていくでしょう。これまでごく魅力的に思えた相手が、何となく色あせて見えることもあるかもしれませんし、逆に、ちっとも気にしていなかった人の「真価」を見いだすこともできるかもしれません。
パートナーシップは、非常に深いものに変わっていきます。この変化は、スケールの大きな紆余曲折を経るかもしれませんが、曲がりくねった道を体験すること自体が、愛を強化していきます。「今まで通り」にこだわることなく、さまざまなやり方を試してみることが大事だと思います。
2010年頃から性的な面で火花が散るような体験をしてきた人もいるかもしれません。2015年は、その発火が収束し、自分なりの開花を目指せる時期となっています。
7月半ばから8月頭、10月から11月上旬は、素晴らしい愛の追い風が吹きます。この下半期全体を通して、「本物の愛」を見つける人も少なくないでしょう。
「タイミング」
6月末から8月上旬にかけては、新しいプランがたくさん持ち上がる時期です。ここから2016年にかけて実現すべきビジョンを、熱く描いていけるでしょう。
交友関係にも「熱」がこもるときです。摩擦もあるかもしれませんが、そこからフレッシュな刺激を受け取れるでしょう。
8月から10月上旬にかけては、自分自身の変化と「献身」を意識することになるかもしれません。自分を見失うほど誰かに尽くしてしまうのは、誰のためにもなりませんが、「自分」を確かに軸にしたところで、真に誰かのために力を注げる時期なのです。
あなたの優しさや真心をまるごと受け止めてくれる存在に恵まれそうです。
11月以降、経済面での動きがかなり大きくなります。収入が増えたり、大きな買い物をしたりする人もいるでしょう。