2011年天秤座の下半期の占い

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人間は、一つのものをみんなで使う生き物です。
靴や服はたいてい、個人で所有しますが、家や家具、土地などは、誰かと一緒に所有している場合が多いはずですし、公園や道、ベンチやゴミ箱など、公共物はどうしたって一人で所有するわけにはいきません。
そこには、語り合いもしないし名前も知らないけれど、たしかに、誰かとの目に見えないつながりが発生しています。
そうした繋がりがなければ、そもそもそこに、道や建物が、存在する必要がないからです。

学校は卒業すれば、通わなくなります。
友達はそこにはいなくなり、お世話になった先生もどんどん、転出したり退職したりし、やがて、知っている人は、だれもいなくなります。
それでも、夏の甲子園に母校が出場すれば、どきどきし、全力で応援し、涙を流したりします。
関係はもう、なくなったはずなのに、まだ、そこに結びつきが生じています。
心の中では、名前も知らない後輩達と、確かに、学校を共有しています。

こうした共有は、切り離そうとしても、どうにも、切り離すことができません。
絶交したり、契約を解約したりしても、どうにも結びつきが消滅しつくしません。
相手に価値があるかどうかとか、優れた存在かどうかとか、そんなことは何の意味も持ちません。
人と人とは、生きているというだけで、どこか、ぺったりと融けあってくっついてしまっている部分を抱えて生きているのだろうと思います。

この下半期、あなたはそんな「他者と溶け合っている部分」を強く意識する事になるだろうと思います。
かつて別れたはずの恋人や、今では音信不通の親友に対する、強い、引き合うような「思い」を発見し、その思いに沿って、いくつかの行動を起こすことになるのかもしれません。
あるいは、誰かとの、友達ともなんとも名前のつけようがない関わりを、大切に育て、深めていくのかもしれません。
リクツでは片付かない、人間同士の結びつきが、どんなに、人間を「生かす」上で威力を持つものか、普段意識にはのぼらないその力をこの時期、ハッキリ意識することになるのです。

誰かから大切なものを受け継いだり、あるいは、誰かに大切なものを託したりするのかもしれません。
過去と未来に渡る長い時間と、そこに紡がれている人間同士のつながりに、自分を参加させていくのかもしれません。
そこに、才能とか能力とかでは果たしようがない、重みのある、人間が「存在する」ということの責任を、発見していくことになるのかもしれません。
それは、自分が生きているということの一部を、誰かのものとして与える、ということです。

誰もが、自分の人生の一部を、誰かにそっくり与えて、生きています。
あなたの命は、あなただけのものではないのだから
という言い方は、妊婦さんによく、かけられる言葉です。
でも、私達はつねに何かを共有して生きている以上、お腹に赤ん坊がいなくたって、だれだって、その人の命は、その人だけのものではないはずなのです。

時期的なことをすこし申しますと、年頭からずっと感じていた人間関係における緊張感が、6月、すうっと抜けていくだろうと思います。
真正面からぶつかるようにして関わったり、誰かと「勝負」モードにあったりした熱い状態が、すうっとクールダウンし、落ち着いていきます。
リラックスして人と関われるようになり、さらに、関わる人数が整理されてくるとともに、関わっている相手との距離が、ぐっと縮まっていくのです。
6月中旬から7月は、遠出する機会が増えそうです。
ちょっと長めの旅行や出張に出て、その旅先で、素敵な出会いがあったり、価値観を変えるような印象的な出来事が起こったりする可能性もあります。旅と転機が結びついているタイミングです。
この時期はかなりハードに勉強する人も多いでしょう。
8月から9月中旬は、何か大きな目標にチャレンジしたり、チャンスに恵まれたりする気配があります。積極的に打って出て、大きな成果を得られる時期です。
9月下旬から11月上旬までは、「未来」に目が向かいます。
一緒に新しい未来に向かっていける仲間に出会ったり、新しくトライしてみたいことができるかもしれません。
11月中旬以降は、「密かな闘い」が始まりそうです。
自分のなかにあった見えない「敵」、コンプレックスや内なる他者など、何らかの心理的ハードルと正面から向き合い、打ち克つことができる時期なのです。
このプロセスは、2012年の初夏まで続いていきます。

愛情関係については、今までと考え方を変える人が多いかもしれません。
恋人であってもどこか「線引き」をしていた部分があったら、それをとっぱらってしまうことになるかもしれません。
あるいは、相手の過剰な依存を甘やかしてきていたなら、そこにもっと誠実に向き合うようになるかもしれません。
形は人によって千差万別だと思いますが、とにかく、今まで「自分の恋愛は、こう」と決めてきた形を、ここで、思い切って解体し、自分と相手にしか生み出せない結びつきの世界を新しく融け合わせ、創造して行くことになるだろうと思います。
冒頭から述べてきたことが、恋愛にもしっかり、あてはまるはずです。
追い風が吹くのは9月半ばから10月上旬、そして年末、12月以降です。

この6月以降、誰かにとって自分がそんなに大切な存在だったとは!と驚かされることが多いだろうと思うのです。
あるいは、自分にとってその人がこんなにも大切だったとは!という思いを深く味わうことになるのかもしれません。
人と人とは、どうしようもなく結びついて生きているくせに、なぜか、それを認めようとしないところがあります。
悲しいことに、失ってしまってからはじめて、そのことに気づき、深く傷つくこともあるのです。
この時期のあなたは決して「失ってはじめてそれを知る」のではありません。
ちゃんと。その人がいて、手応えも手触りもある中で、それを知ることができると思います。
小さなものも、大きなものも、結びつきは、人の心を捉えたり、充たしたりします。
そのことの嬉しさを、この時期、たっぷりと味わい、人にも伝えることができるだろうと思います。