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「全体を眺める総論」
世界中のさまざまなおとぎ話に、「魔法使い」が登場します。
「魔法使い」は、「魔法」、すなわち「一般的には実現不可能なことを可能にしてしまう力」を持っています。
私が子どもの頃愛読した『小さい魔女』という作品で、主人公の「小さい魔女」は魔女の見習いで、魔法を勉強中でした。
2015年下半期、天秤座の人は「小さい魔女」のように、勉強の末「魔法使い」になるかもしれません。……などと書くと、全く非現実的なようですが、世の中には魔法のような技術や知恵がたくさんあるのではないでしょうか。それができる人には当たり前のことでも、第三者から見ると「どうやってやったのか全くわからない!」ということはたくさんあります。私たちは日常的に、便利な機械や道具を当たり前のように使っていますが、その内側の仕組みがどうなっているのかは、ほとんどわかりません。「どうなっているのかわからない」ものは、ある種の魔法です。飛行機がどうして飛ぶのか、といったことでさえ、大してよく知りもしないまま、空を飛ぶ魔法に自分を委ねているわけです。
さらに言えば、この世にはもっと神秘的な「魔法」もあります。それは、人の心に関する「魔法」です。
特に、優しさや愛といった魔法はやっかいです。というのも、自分で自分のニーズを満たすことができないからです。
たとえば、空を飛びたい人が飛行機の製造法や操縦法を会得するなら、この人は「自分で自分のニーズを叶える魔法を身につけた」ことになります。
でも、愛されたい、というニーズや、誰かに気持ちを救って欲しい、といったニーズは、自分で自分を愛したり優しくしたりしても、充たされるものではありません。世の中には、そうした「他人の願いは叶えられるけれど、自分自身の願いは叶えられない魔法」も多々あります。この時期の天秤座の人が身につける「魔法」には、どうも、そんな特徴があるようです。
ですが、この「他人のためにしか使えない魔法」が自分にとって役に立たないか、というと、そんなこともありません。
たとえば、『ムーミン』シリーズに登場する「飛行おに」というオニは、まさに「自分で自分の願いを叶えることはできない」魔法使いです。飛行おにがムーミン谷の皆の願いを叶えてあげたとき、その中の一人が、「飛行おにの願いが叶う」ことを願ってくれます。「自分の願いは叶えられない魔法」は、間接的に、自分自身の願いを叶えてくれる可能性があるのです。
2015年下半期、天秤座の人は多くを学び、みずから「魔法」のようなワザや知恵を身につけます。さらに「魔法」を介して今までに出会ったことのない相手に出会ったり、逆に、誰かから素敵な「魔法」をかけてもらったりすることになりそうです。
たとえば「愛情表現」と言ったとき、一般には抱擁や「愛しています」といった言葉の表現、愛撫などが思い浮かびます。でも、本物の愛情の表現は、もっと多様です。じっと見守ることや、相手のために陰で努力すること、自立すること、激励や叱責が本物の愛の表現となることもあります。おそらく、自分がどう思われるか、受け入れられるのか、などを超えたところで、純粋に相手の人生のためだけを考えることができたなら、それがもっとも大きな愛情表現です。そうした愛情表現をもし、的を射た形で実現できたなら、まさにその当事者たちは「魔法」や「奇跡」の存在を信じられるはずです。
2015年下半期の天秤座の人々は、そうした意味での「魔法」を、さまざまな形で体験します。それは、一過性の現象ではなく、この先ずっとあなた自身が使っていける「魔法」となります。
「自分自身のこと(心、身体、夢、成長)」
私たちは「完全な成長」を遂げることはできません。誰もがある部分は非常に老成しているのに、他の部分は幼いまま、といったアンバランスを抱えています。
この時期はそうしたアンバランスな部分の中の、「まだ幼い部分」が、しっかり伸びる時間帯と言えます。目に見えないところで、どんどん成長していくものがあります。
過去に失敗したこと、問題があるのに目を背けていた部分、なかなか受け止められずにいたことなどに、この時期、光を当てることができます。今まで、心の奥深くに巣くっている問題のせいで、どんなに頑張っても実現しなかったこともあるかもしれません。そんな奇妙な鎖を「昇華」できるのがこの時期です。
かつて取り組んだことに再チャレンジできる可能性がありますが、そこであなたは、かつてとは全く違った選択肢を選ぶはずです。以前とは違うアプローチを試みて、それによって自分自身を変化させていけるのです。
また、不思議な夢に導かれる人もいるかもしれません。生活の中で面白い符合を感じたり、既視感や予感を通して、縁をたぐり寄せるような場面もありそうです。
「他者のこと(人間関係、役割、ギフト」
2014年中ほどから、仲間と呼べるネットワークが、ぐんぐん広がっていたのではないでしょうか。この広がりは2015年下半期にも続いていきます。特に、6月から10月上旬は、あなたがそのネットワークの中心人物となって活躍することになるでしょう。
ふわっとした知人同士のつながりが、2015年下半期にはもう少し紐帯(ちゅうたい)の強い「チーム」「組」のように成長します。
また、一対一の人間関係やパートナーシップにおいては、2010年頃からかなりドラマティックな展開が続いていたのではないかと思いますが、この下半期は特に9月から10月にかけて、大きな転機が巡ってきそうです。新しい出会いや関係性の変化、関わりが何らかの形で「成就」するような時期です。
他者に対する無償のサポートや働きかけも、この時期の大きなテーマです。利害関係やビジネスを抜きにして、生身で、むきだしの心で人と関わる場面が増えていきます。弱みを見せ合ったり、自分の内なる問題を見直したりしながら、人との関わりを深めていけそうです。
「外の世界(仕事、勉強、社会的な活動、目標)」
時間をかけた勉強をスタートさせるときです。
資格取得などを目指す人もいるでしょうし、基礎的な学習、「教養」を高める努力を始める人もいるはずです。隠れた努力家の多い天秤座ですが、この時期は自分で自分にしっかりカリキュラムを組み、人知れず努力を続けることになるでしょう。
苦手なことの克服に取り組む人も少なくなさそうですが、誰でも完璧ではありません。過度な完全主義は、かえって周囲とのコミュニケーションを阻害し、相互理解の障害物となる可能性もあります。誰もが、得意なこととそうでないことを抱えています。人が「できないこと」を許すために、敢えて自分の「できないこと」に取り組んで自分を知る、という人もいるかもしれません。
この時期のミスや誤解は不思議と、あなたの周りに広がる人間関係を好転させるきっかけとなります。
ボランティアなど、無償の社会的活動にも熱がこもります。
ビジネス以外のテーマで、広い社会と深く関わっていくことになります。特に6月から10月上旬、そうしたチャンスが巡ってきやすいでしょう。
「中の世界(居場所、身近な人々、所有、土台)」
兄弟姉妹やごく身近な人々との関わりが、重みを増します。身内と呼べる人々の中で、今までより重要なポジションに立つことになるのかもしれません。兄弟姉妹の関わりにおいて、新しい責任の分担が発生する可能性もあります。
2010年頃から今に至るまで、「家」「居場所」に関して、パートナーや関係者とぶつかることも多かったのではないかと思うのですが、このあたりからそうした衝突は消えていきます。
一方、どんな場所に住みたいか、どこに行くべきか、ということが、今までよりもビビッドなテーマとして浮かび上がってきそうです。2015年から2020年にかけて、長い旅の果てに居場所にたどり着く、といったシナリオも考えられます。この「旅」は物理的な旅なのかもしれませんし、人間関係やキャリアの変化といったストーリーなのかもしれません。
また、2012年頃から経済的に問題を抱えていた人は、9月中ほどにその問題から解放されるでしょう。年末から年明けにかけて、経済面で素晴らしい追い風に恵まれます。
「恋愛について」
9月から11月にかけて、ドラマティックな雰囲気に満ちています。パートナーを探している人は、電撃的に結婚する可能性もあると思います。
この時期の愛の「きっかけ」は、たとえば相手が病気になってお見舞いに行ったとか、困っているところに助け船を出したとか、そういったところに見いだされそうです。あるいは逆に、あなた自身が誰かに助けてもらったのをきっかけとして、愛が進展していく可能性もあると思います。
この時期の愛は「二人の世界」に閉じこもることなく、広く外の社会に開かれているのも特徴です。相手の世界観や人生観に深く共感するところから、愛が育っていく時期でもあると思います。
「タイミング」
6月から10月上旬にかけて、天秤座の支配星でもある金星が、ずっと「未来」の場所に滞在します。刹那的な恋愛ではなく、長い時間をかけて育てていけるものとしての愛を、真剣に追求する人が少なくないだろうと思います。また、そうした愛を得るチャンスも、巡ってきやすいはずです。
9月半ばと12月は、経済面で勢いのあるときです。心配事から解放され、ゆたかさを楽しめそうです。
11月から12月にかけては、目に見える変化が起こります。イメージチェンジや新しいスタイルを試みられる時期です。
また、年末は体調を崩しやすい時期でもあります。特に、無理を重ねていた人は、大きな健康上の問題が現れる可能性もありますので、しっかり休養をとり、生活のあり方を変えるべきです。周囲のために自己犠牲を払いすぎた結果、体調を崩したなら、その構造を認めて、生き方を改めることができると思います。