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「擬態」を行う昆虫は、とても不思議な存在です。
鳥から身を守るために大きな目のような模様を持つ蛾や、枯葉や樹皮と見分けのつかない姿をしたバッタ、美しい桃色の蘭のように見えるカマキリなど、昆虫図鑑を見ていると、いかにも神秘的です。
どうしてそんな姿になったのか、ということは一般的には、突然変異と環境適応で説明されるのだろうと思います。
でも、偶然の変化が重なって、あんなに見事な、花のようなカマキリが生まれる、なんて
なんとなく、信じがたいような気もするのです。
木や花や鳥や、自分以外のあらゆるものの姿を、自分自身の個性や強みとして取り入れてきたものたち。
私たちは、「他者」と「自分」はきちんと切り分けられているように感じていますが実際は、擬態する昆虫たちのように自分以外の存在を大いに自分の中に取り入れ、自分自身として、
生きているものなのかもしれません。
例えば、生殖器の形がそうです。
男性も女性も、生まれたときから、自分以外の存在が持つものの形状を前提として、形作られてしまっています。
自分のからだが最初から、ひとまとまりに完結していない、と考えると実に奇妙な感じがしてくるのは、私だけでしょうか。
あるいは、親兄弟と似ている部分を発見すると自分の中にそうした「遺伝子」が否応なく組み込まれていることが解りますし、外国から来た人と接すると、自分の生まれ育った土地や国の文化が、あらがいようもなく、絶対的価値観として自分の心に組み込まれていることに気づかされます。
私たちの多くの部分は、自分自身以外のものによって規定されていて、さらにそのことは、人生という道を進んでいくに従って、発展し、強化されてゆくものなのだろうと思うのです。
2012年下半期以降、蠍座の人たちはそんなふうに「他者であったものを、自己の個性として取り入れていくこと」をスタートさせます。
自分にとって大きな意味を持つ存在に相対したとき、自分の個性が、大きく変化していくのです。
この「大きな意味を持つ存在」は、先生や先輩や上司、同僚や友達、恋人やパートナーなど、あるいは、憧れの有名人や芸術家など、あらゆる存在が想定できます。
かならずしも身近な人ではない場合もありますが、人は、その距離に関わらず自分にとって意味を持つ存在に出会い、そこから、花の形をするカマキリのように、自分の形を変えていけるものなのだろうと思います。
時期的なことを少し申しますと、まず、6月から7月頭は、未来のことを勢いよく考えていく時期です。
道をどんどん開拓して踏み固めていくように、企画し、設計し、行動し、アクティブに動いていけます。
この時期、新しい仲間が増える気配もあります。
7月から8月は、一転して「問題点を見つけ、解決する」ことが必要になりそうです。
何度も同じ部分でつまずいたり、似たようなトラブルがパターン化しているようであれば、それを根本的に検証して、「前提」を変えなければなりません。
この夏はそんな徹底的に丁寧な作業が発生しそうなのです。
8月末から10月頭にかけては、とても華やかで熱い時期となっています。
自分から手を上げて、周囲を巻き込んで進めていくようなプロジェクトが発生します。
ここで、自ら動く事を選ばない場合、エネルギーが内側にこもってしまって、苛立ちやすくなったり、攻撃的になったりする可能性もあります。
この秋は、誰かが言いだしてくれるのを待つのではなく、先ず自分から動いてしまうほうが、ずっとスムーズだと思います。
10月から11月は、「じっくりと時間をかける」ことが大切です。
ここまではずっと、勢いが良かったと思うのですがここへ来て、先を急ぐのを辞めてペースを落とし、「少しずつ積み上げる」「物事を整理して軌道に乗せる」という雰囲気になってきます。
11月半ばから12月にかけて、外出する機会が多くなると思いますがここでも、スピードに拘らず、ゆっくり進むほうが結果的に、ものごとをスムーズに着地させられるはずです。
愛情関係については、非常に官能的な時期となっています。
パートナーと、深く濃い時間を過ごすことができますし、フリーの人にも魅力的な誘いが多いでしょう。
とはいえ、官能だけの関係については、いつもよりもむしろ、傷つきやすくなっているあなたがいるようです。
蠍座は非常に官能的な星座ですが、それゆえに性についてとても厳格な人と、かなり放埒な人との両極端に分かれます。
普段は性的な面で奔放なところがある人でも、この時期は、精神的な交流のない関係を結ぶことが耐えがたく感じられるはずなので、自分を傷つけないためにも、相手の誠実さに対しては慎重になるべきだと思います。
2012年の前半までにパートナーを得た人は、お互いの役割分担や、甘えてもいい部分などを生活の様々な局面で、ひとつひとつ、確かめていくことになるかもしれません。
フリーの人にとっては、これまでに経験したことのないような、ちょっと不思議な出会いが訪れる気配もあります。
特に、困っている人や弱っている人との間に縁ができたり、逆に、あなたの弱点をすくいあげてもらえたり、と、一見ネガティブな状況が、恋愛に結びつく可能性があります。
恋愛に追い風が吹くのは8月と、11月下旬から12月半ばまでです。
哲学者プラトンが「饗宴」の中で語るところによれば私たちはもともとは、球のような形をしていて手は四本、足は四本で限りなく充足した心を持っていたのだそうです。
それが、あるとき真っ二つに切り離されて今の私たちの身体になってしまいました。
だから、私たちは自分の「元の半身」を探して、人生をさまよいながら生きていくのだということです。
「他者との出会いから、自らの個性が作られていく」とは、運命のように決められた「元の半身」と出会い、自分を取り戻していくことなのでしょうか。
「この出会いは運命によってあらかじめ決められていたのでしょうか?」とは、多くの方から寄せられる普遍的な質問です。
これに対して、私は「あらかじめそれが決められていたのかどうかは、私には解らないのですが少なくとも、出会った相手が持っている何らかの部分を、あなたが心の奥底で、無意識に必要としていたのは、確かだと思います」と答えるようにしています。