2011年射手座の下半期の占い

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からだを輝かせて走る競走馬の美しさは、古来、世界中の多くの人々の心を魅了してきました。
私も一時期、その面白さに夢中になったことがあり、今でも時々、無性に競馬場に行きたくなります。
動物愛護という観点からは、批判もあるようですが、競馬場で馬が走っているのを見ると、馬は本当に走るのが好きなんだなあ、ということを感じます。
騎手と馬との目に見えない対話や友情のようなものにも、心を打たれることがあります。
射手座という星座は「馬」に関わりの深い星座ですが、この下半期の、射手座を巡る星回りをながめていて、私は、ある牝馬の物語を思い出しました。

彼女の名は、ホクトベガ。「砂の女王」の異名を持つ、名馬でした。
人間の陸上競技と同じく、競馬にも、いくつか種目のようなものがあります。まず、短距離、長距離など距離の区分があります。ただ走るだけでなく、障害物を飛んでいく、障害レースというのもあります。
さらに「馬場」、つまり走る地面にも、種類があります。ダービーや有馬記念など、有名なレースはだいたい、緑の芝生の上を走ります。そのほかに「ダート」と呼ばれる、砂の上を走っていくレースがあるのです。

ホクトベガは、最初、芝でレースをしていました。
エリザベス女王杯という大きなレースに勝ちましたが、その後、成績が振るいませんでした。
そこで、試しにダートで走らせてみたところ、無類の強さを発揮、俄然、快進撃をはじめたのです。
あるレースでは、実況アナウンサーが「女王様とお呼び!」と叫んだほどの、圧倒的な強さでした。

人の人生でも、そんなふうに、ちょっと条件を変えたら、元々持っていた姿が開花した!というような劇的変化が起こることがあります。
がらっと全てを変えてしまうのではなく、芝から砂へ、というコース変更によって、才能が自然に外に流れ出すようになるわけです。
自分に何が向いているのか、どんな条件、どんな分野なら輝けるのか、ということは、自分でもなかなかわからないものです。
たいていは、偶然その条件に出会います。

ホクトベガのように、最初、芝で成績を出してしまっていると、路線変更を決断するのがかえって難しくなってしまう、という場合もあります。
過去の栄光にすがる人が人間的成長を止めてしまう姿をよく見かけますが、「成功の経験」は人の自信になることもあれば、人の足を引っ張ってしまうことも、あるのです。
過去の経験が華々しければ華々しいほど、未来がそれに見劣りするように見えて、変化を拒む。こうなると、前にも後にも動けずに、尻すぼみになってしまいます。

この下半期、射手座の人は何らかの形で、このような「条件」を変える選択をすることになりそうです。
自分の体質に見合った条件、今の自分の関心に噛み合う条件。
それは、向こうから提示される可能性もありますし、自分からふと、それに気づく事もあるでしょう。
守備から攻撃に変わったり、現場担当からマネージャーに代わったり、文系から理系に変わったり、夜型から朝型に変わったり、パンツスタイルからスカートに変えたり、等々、様々な「シフト」が考えられます。
最初から、水を得た魚のように活躍できる場合もあれば、履き慣れない靴のように靴ずれを起こしつつも、徐々に馴染んでいく場合もあるだろうと思います。
いずれにせよ、この「シフト」によって、持てる力の全てを出し切れる!という感覚が漲ってくるだろうと思うのです。

時期的なことを少し申しますと、まず6月、前述のような「条件の変化」の気配がみるみる濃厚になってきます。新しい選択肢が目の前に置かれたり、試してみたいことを見つけたりする時期です。
6月半ば以降は、それを後押ししてくれる人物が現れる気配もあります。
7月は人間関係がとてもドラマティックです。新しい出会いもあるでしょうし、誰かとの関係が大きく変わったりするかもしれません。
8月から9月半ばは、誰かから大切なものを受け継ぐような動きが生じそうです。失われそうなものを蘇らせるような作業も発生するかもしれません。
9月半ばから11月上旬は、遠出したくなる時期となっています。出張や短期留学など、足を伸ばして新境地をひらける時期です。
11月中旬以降、年をまたいで、大きなチャンスが巡ってきそうです。前述の比喩で言うなら、レースの条件を変更した後、大レースに臨む!というような時期となっています。
年末、とても印象的な出来事が起こるかもしれません。人生のターニングポイントを感じるタイミングです。

愛情関係については、2011年の年明けから5月までにスタートを切った人は、6月以降、丁寧に軌道に乗せていくことになるでしょう。
まだ出会いがない、という人も、7月と11月から12月あたりに、ピンポイントで「きっかけ」が生じやすくなっています。
カップルはこの時期に、関係が前進する気配があります。また、恋人を今までとは違った目で観察、分析できるようになるかもしれません。好きとか嫌いとかいうスケールだけでなく、人間性を客観的に知ろうとする眼差しがあるのです。
さらにこの眼差しは、自然に、自分自身にも向けられます。批判やあら探しではない、真の理解に向かって、美しい理性を働かせていくことができる時期です。
恋愛にあたたかな追い風が吹くのは、6月、そして11月です。

意外性を好む射手座の人は、「いつものスタイル」を変えることに、あまり抵抗を感じない傾向があります。変化や緊張感も、なんとなく楽しめてしまうのです。いつもと違う、というだけで、テンションが上がってしまう人もいます。
でも、この時期の「シフト」には、もっと深い根っこがあるような気がします。欲望や実力といった、生命力そのもののような熱が変化を強く求めていて、その無言のパワーに突き動かされるかのように、この時期の「シフト」は選択されるのだろうと思うのです。
「選んでも選ばなくてもいいけど、何となく選んでいる」というつもりでも、本当は「いやおうなく、どうしようもなく、選ぶしかなくて、選ぶ」という状態なのかもしれません。
これは、強制されるとか脅迫されるとかではなく、入道雲のように胸に自然と湧いてくる、恋心や憧れのような、もう一人の「自分自身」です。