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「お約束」が今は、通用しません。「普通はこうする」「定石はこう」「常識はこう」というその知恵が、今は多分、周囲とちっとも共有できません。自分の側に確たる「常識」があり、相手の側にそれがないと感じられる時、「自分が正しくて、相手が間違っている」「相手に知識が足りないのだから、教えてあげなければ」と思ってしまいます。ですがもし、そこが初めて訪れた外国の地で、知り合いが一人もいない状況だったら、どうでしょうか。多分相手の方が正しいのかもしれない、と思わざるをえません。
私たちは「いつも通りの世界」に住んでいるつもりで、いつの間にか異世界に暮らしている、といった状況に置かれることがあります。昨日と変わらぬ今日の風景なのに、周囲の人々が何かおかしなことを言っているのに気づくのです。その時、「おかしいのは自分なのか、相手なのか?」と混乱させられます。でも、大切なのは多分「誰が正しいのか」を判断することではありません。そうではなく、「今、どうあるべきか」を判断することがポイントなのです。たとえば、相手の非常識を鳴らすことで、その人の心を壊してしまう人がいます。常識の有無よりも、人の心を傷つけないことの方が、よほど大切なことのはずです。そんなふうに「一番大切なこと」さえ見失わなければ、今巡ってくる新しい状況に対応するのは、あなたにとって意外と簡単なことだと思います。実は、あなたは本質的には、誰よりも柔軟な人だからです。