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山を登っている最中、
「山の頂上」はなかなか、見えません。
誰かと出会ったとき、その人とずっと関われるのか、
それともその場だけで終わってしまうのかは、
その場では決して、知ることができません。
でも、私たちはつい、
山のてっぺんや遠い未来などを、
目をこらして見ようとがんばります。
そして、それがどうしても見えないことに不安を感じ、焦り、
なにか不可解な力に絡め取られるように、
足元をぐらぐらさせてしまうこともあります。
2014年は、
そんな「見えないもの」に目をこらすことを一旦棚に上げて、
「既に見えているものをじっくり見つめる」ことに力を注ぐときです。
足元にあるもの、身近にあるもの、
周囲から聞こえてくる声、既に解っている道順。
そうしたものは一見、ありふれて退屈に思えますが、
「ありふれて退屈なものだ」という先入観が、
見えなくしている部分もあります。
私たちは、何かを「ありふれたものだ」とおもうと、
それを注視することをやめてしまいます。
何か名前を付けたり、型にはめたりして、「わかった」ことにして、
「次」にいこうとします。
そこで、「ありふれたもの」が持っている宝物を見過ごしてしまうのです。
2014年、とくに前半は、
牡牛座の人は「目の前にあるもの」を手掛かりに、
冒険を展開して行きます。
これは決して、
この時期の冒険が小さな世界に押し込められている
という意味ではありません。
そうではなく、たとえば
「次にどこに向かえば良いか」という指令書のようなものが、
いつもごく近くの、普段通りの、
慣れ親しんだ場所に落ちている、ということなのです。
得た知識を、自分の眼前にある体験と結びつけること。
すでに知っている人の何気ない話に、耳を澄ますこと。
一度出かけた場所に、もう一度出かけてみること。
一度体験したことを、くり返し体験してみること。
手元にあるメッセージを細部まで読み込み、
隠された秘密をデコードすること。
こうした作業が
、2014年の牡牛座の世界では、とても重要だと思います。
あちこち出かけていく機会も増えますが、
そこれは「全く自分の知らないことに出会う」のではなく、
すでに知っている自分の世界と、
新たに出かけていく世界とを、
結びつけるような作業が発生するはずです。
「思考」は静的なイメージをまとっていて、
彫刻「考える人」も、頭を支えてじっと静止しています。
でも、「考え」は
そうした静止状態からだけ生まれてくるものではありません。
この時期の牡牛座の世界において、
アイデアや思考、発見は、いつも「動き」のなかから生まれてきます。
外に出かけていくこと。
言葉にして発信すること。
聞き取り、学び、うたい、心を動かすこと。
そうした「動き」が、「考え」を作り上げていきます。
2014年後半、牡牛座の人は
「自分を守ってくれる力」「居場所」を作る季節に入っていきます。
ここから2015年半ばにかけて、
家族を得たり、新しい家や部屋を得たり、
環境を刷新したりする人も少なくないでしょう。
外に出て戦うための「ベースキャンプ」を作るような作業が、
この時期の大きなテーマとなっています。
不動産など物理的な「居場所」を作る流れも強いのですが、
同時に、人を守る場所は「人」でできています。
2012年頃から、牡牛座の人は「他者」との関わりを、
時間をかけて慎重に、時には自分を制限しながら、
作り続けてきたのではないかと思います。
これは言わば、
「長い時間をかけて関わっていける関係を選択し、構築する」
というイメージの作業でした。
たとえば、仕事においてある種の「専属契約」や「顧問契約」などを結ぶ時、
その相手はごく慎重に選ばなければなりません。
なぜなら、その関係が長い期間にわたって自分を理解し、守り、
強くしてくれることになるからです。
ある種の人間関係は、人を守ります。
場合にも寄りますが、
人は、たった一人で行動するときよりも、
2人、3人で行動する時のほうが、
外界に対して「強い」状態に置かれます。
2012年頃から、牡牛座の人はそうした、
自分の生き方をいい意味で強化し守る力を持つような、
長い時間を見越した人間関係を、
誠実に選択しようとしてきたのだろうと思うのです。
この作業は、2014年の年末に一段落し、2015年の中で収束します。
つまり、信頼できる確かな人間関係が「できあがる」時期なのです。
「長期にわたって信じられる関係ができあがる」タイミングと、
「居場所を作る」タイミングとが不思議と重なっているのが、
この2014年後半から2015年という時期です。
これを実現するために、2014年前半に展開するコミュニケーションが、
大きな意味を持ちます。
2013年後半から2014年前半は、
いつもよりずっと「人と話す」機会が多くなると思います。
このコミュニケーションが層状に積み重ねられたところに、
前述のような、居場所とも盾ともなってくれる関係が生まれる可能性も、
少なくないと思います。
誰かがあなたにとっての居場所であり、盾であるなら、
あなた自身もまた、相手にとっての居場所とも盾ともなることができます。
こうした関係が、公私ともに作られていく中で、
あなたは何度か、冒頭に述べた「山のてっぺん」を見上げるのかもしれません。
目の前にあることを自分の体験と結びつけ、
「動き」から「思考」を作り上げるプロセスを進むうちに、
「てっぺん」の様子は次第に鮮明に、
あなたの視界に入ってくるだろうと思います。