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以前、青春18切符の旅に出たとき、
上野から高崎行きの電車に乗りました。
東京を離れるにつれてだんだんと、
風景は見知らぬ、でも、懐かしいものに変わっていきました。
すなわち、東京から離れれば離れるほど、
建物や町の風景は「昭和」を感じさせるものになっていったのです。
遠ざかれば遠ざかるほど、
「昔」に帰っていくような錯覚。
見知らぬ場所へと向かうほどに、
もっとも個人的な懐かしい記憶が蘇る、不思議な旅となりました。
遠くにゆくほど、
自分の中心にあるものに近づく旅。
2014年の前半、蠍座の人はおそらく、
そんな旅を経験するだろうと思います。
この「旅」は、出張や留学、旅行など、
文字通りの物理的な移動の可能性もありますし、
何かを学んだり、新しい分野に踏み込んだりするような、
知的・精神的な「旅」である可能性もあると思います。
いずれの「旅」も、元いた場所から遠ざかれば遠ざかるほど、
あなたの最も内側にある、自分のルーツとも言えるようなものに
近づいて行くことになるだろうと思うのです。
「宗教学」という学問があります。
学問は物事を分析し、言葉で説明することを重んじます。
ゆえに、宗教学の世界には、一つの根の深い批判が存在します。
それは、宗教というものは言葉によって切り刻まれるようなものではなく、
人間存在の全体をもって経験され、生きられなければ
本当に解ったことにはならない、という批判です。
私たちは物事を理解しようとするとき、
まず「言葉による説明」を求めます。
でも、たとえばいくら芸術作品を詳細に言葉で説明されても、
実際にそれを見聞きするまでは「わかった」ことにはなりません。
言葉ではどうにもならない、
私たち自身が実際に「生きる」ことでしか意味を持たないものが、
世の中にはたくさんあります。
その一方で、何も考えずにただ漫然と受け止めるだけでは、
ちっともうまく行かないこともあります。
人間関係や恋愛において、
「自然に」やっているだけではどうしても行き詰まってしまう事があるわけです。
そういうとき、
「自分の考えがおかしいのだろうか」
「相手はどういう考え方をしているのだろう」
というふうに、
起こったことを客観的・論理的に考えて行く必要が生じます。
頭と知恵を使って「解ろう」としない限り、
永遠に解らないことがそこに存在します。
2014年、蠍座の人は物事を知的に理解しようとします。
高度な知識を学び、専門分野を拡大し、
抽象的な概念を理解してそれを自分の世界に落とし込もうとするはずです。
ですがその一方で、リクツや言葉ではどうにもならない、
ただそれをひたすら「生きる」しかない世界に深くどっぷりと浸かり、
そこでものごとを受け止めていく作業が並行して、進んで行きます。
この2つは打ち消し会うことはなく、
むしろ互いに、望ましい刺激を与えあいながら、
絡み合って育っていきます。
この作業は、
冒頭に述べた「遠くへゆくほど、内側に近づく」プロセスと重なっています。
つまり、
「高度な知識を得、論理的に考えるほど、
『内なる体験』が深まり、心の中の問題に近づいていける」
というわけです。
2014年は、人と様々な形で交わっていくことができますが、
これは真ん中にテーブルを置いて
差し向かいに向き合うような形のものではありません。
そうではなく、
たとえば相手の慢性的な傷に包帯を巻いて手当てするような、
あるいは、悩んでいる相手の肩に黙って手を置いて、
そのまましばらく一緒にいるような、そんな形の交流だと思います。
言葉以外の手段で誰かと結びつく場面もたくさんあるでしょう。
そこでは、相手の困難に立ち合うことで、
自分自身の困難を昇華できるような、
そんなプロセスも発生するはずです。
傷の手当てのように、お互いの世界に、
ごく現実的な形で「踏み込む」ことを通して、
人間関係が広がっていくだろうと思います。
年の後半、蠍座の世界には大きなチャンスがめぐってきます。
2012年くらいから努力してきた成果を、
ここでどーん!と外の世界に打ち出すことができるでしょう。
2014年後半から2015年前半、
社会的な階段を一気に駆け上るようなタイミングに当たっていますが、
この傾斜は大変急なため、
息切れや恐怖を感じる場面もあるかもしれません。
息が切れるのは、つまり、
あるべき道を上っている証であるわけです。
もし、この時期息も切れず、不安も感じないとしたら、
それはもしかすると、本来の自分ではなく、
ただ頭の中に思い描いた虚像のようなものを生きてしまっているだけ、
ということなのかもしれません。
2015年前半までのあいだに、
新しい社会的立場を得たり、
独立したりする人も少なくないと思います。
2012年くらいからの
「重みを増した社会的責任を引き受けるためのプロセス」
が、2015年に収束するのですが、
この2年半ほどの「鍛錬」の終結と、
新しい社会的立場を得るタイミングとが重なっているのは、とても印象的です。
2014年から2015年にかけて、
蠍座の人々が感じる「達成感」は、
並々ならぬものがあるに違いありません。
これは蠍座の人自身の中にとどまるものでなく、
周囲も深く頷き認めるところだと思います。