2025年
突然、自分の話からで恐縮ですが、私には妹が二人います。一人目の妹はほぼ年子なので、彼女が生まれる前や直後の記憶は、全くありません。一方、二人目の妹が生まれた時、私はすでに12歳で、かなり当時を覚えています。
「妹ができる」ことは、私自身には、全くコントロールできません。でも、そこで私は「姉」「二人の妹の姉」になりました。立場が変わり、さらに少なからず、アイデンティティにも変化が起こりました。
「自分を変えたい」「人として成長したい」という人はたくさんいます。自分の意志で、内側から変化できる、と多くの人が考えます。一方「妹ができた」時のように、外部から起こる出来事が「自分」を大きく変えるシチュエーションは、とても一般的です。
おそらく後者の方が、ケースとしては多いのかもしれません。自分から変わろうとして変わるのではなく、先に環境や状況が変わって、そのあと自分が変わるのです。
2025年、牡羊座の人々の多くが、たとえば「姉になる」ような変化を経験するのではないかと思います。最初に起こるのは外部からの変化ですが、最終的には「自分はおねえちゃんである」というふうに、アイデンティティの変化にたどり着きます。
最初の変化は半ば押しつけられたものであっても、あとから自分でその変化に追い着き、変化を選択するのです。
アイデンティティの大半は、外側からしみこんだもので作られます。
住んでいる地域、
所属している集団、
受けた教育、
受け取った愛情など、
外側から入ってきたものに慣れ、意識にのぼらなくなった時、それらが「私自身」になります。
スキルや知識なども、アイデンティティの一部です。
自転車に乗れるようになった自分、
時計が読めるようになった自分、
180度開脚ができる自分、
文字が美しく書ける自分、
ギターが弾ける自分、
ある程度英語が話せるようになった自分。
最初は難しくて
「もうダメだ」
「自分には才能がない」
と思えても、コツコツ頑張って身につけて、いつか呼吸するように、自然にできるようになります。
何も考えなくても、身体が勝手に動いてくれます。それらは全て「自分自身」で、大事なアイデンティティの一部です。
こうしたこともまた、外部から内部にしみこむものです。最初はどうにもならなくても、だんだんに「自分」に馴染みます。
慣れていく、
馴染んでいく、
身についてゆく。
そのプロセスには必ず、時間が必要です。
もちろん、はじめてピアノの前に座った瞬間、ある程度以上に弾けてしまう、といった「天才」も存在します。ですがその場合でもやはり、全く時間を割かずに「アイデンティティにピアノが入り込む」とはならないでしょう。
むしろ、「天才」ほど、自分の才能を使うことに熱中し、誰よりも多くの時間を費やすのだと思います。最初はなかなか慣れず、靴ずれのような状態になっても、だんだんに履きこなしてゆくうち、身体の一部となります。ここでは「時間」が不可欠です。
妹や弟が生まれる、と知った上の子が「赤ちゃん返り」をする、という話をよく聞きます。親の愛情が弟妹に移ることを恐れて、過剰に甘えんぼうになったり、関心を惹こうとしたりする現象です。
最初はそのように、慣れない事態に「抵抗」しても、徐々に「自分は兄姉である」という立場性が受容されます。慣れた、とも言えますし、本人の中でそうした価値観が「選び取られた」と言える場合もあるだろうと思います。
時間をかけて、抗い、やがて慣れ、吸収され、馴染み、選び取られていって、最終的にできあがる「自分」。
牡羊座の2025年はそんな、「自分」を作る少し長い道のりの入り口となっています。新しい自分に出会い、出会った自分と仲良くなっていく、そのプロセスのスタートラインです。