今年の占い

2024年

仏教の世界では「煩悩」から抜け出すことが、ひとつの目標とされます。煩悩は108つあるそうで、執着や貪欲、愛情もそのひとつです。

修行の過程ではそうした煩悩を刺激するものを「避ける」「ガマンする」ことになるようですが、最終的に煩悩から抜け出した「悟り」の状態は、何かをガマンしている状態ではありません。「欲しい」と思う気持ち自体から、抜け出した状態なのです。

そんな「悟りの境地」は、私のような凡人からは全く、縁遠く思えます。ですが、「悟りとは、もしかしたら、こんな感じかな?」と思えるシチュエーションもあります。それは、小さな子供の遊びを見た時です。

幼い頃に夢中になった遊び、楽しくて仕方がなかったことが、大人になってみればただ「微笑ましい」だけで、幼い頃ほどの興奮、気持ちの高まりは蘇りません。「子供の頃の私は、なぜあんなものに、あれ程夢中になったのだろう?」と不思議に思えます。

人間はある種の欲望や興奮、執着を、どこかで「卒業」することがあるのだと思います。多分それは「悟り」の感覚に似ているのではないか、と想像するのです。

それはたとえば「満足・満腹」ということにも通じるのかもしれません。食べ物を食べての「満腹」は、時間が経てばまたお腹が空いてきますが、心が何かに本当に「満腹」すると、もうそれが欲しいという気持ちを持てなくなる、ということはあるのではないかと思います。

2024年の山羊座の人々は、なんらかの「満腹・満足」、あるいは幼い興奮からの「卒業」のようなステップを踏むのではないかと思います。それは、ある種の渇望や飢餓感から解放される、ということを意味しています。焦燥、切迫、強迫的な感情も、ここで一段落して、消えていきます。

これまで心に熱い炎を燃やし、渇望や焦燥からガツガツともがき、動き続けてきた状態が、ひとつの着地点に達するのです。

山羊座の人々はこれ以降、ある「サイクル」に入ります。あるいは「レールに乗る」ことになります。

たとえばそれは、螺旋のようなイメージです。螺旋階段を真下から見上げると、それを上っている人は、同じ場所をグルグル回っているように見えます。ですが、横から見ればその人は確実に上に上っているのです。「同じ場所で同じことを続けているように見えても、実はそうではなく、確実に新しい場所に移動していく」というそのサイクルに、山羊座の人々は入ることになります。

あるいはそれは、列車がレールの上を走る様子にも似ているかもしれません。列車はなめらかにレールの上をすべり、それ自体がバタバタともがいたりはしません。列車の中の乗客も、ほぼ静止しています。静止しながら、レールの上をすべり、進んでゆくのです。

これ以降の山羊座の人々はそんなふうに、回転や滑走など、ある種の静止状態をくり返すことで、全体として前に進んでいく、という流れに乗るようです。これは、前述の「渇望してもがきながら進む」状態とは、大きく違っています。

その動き方には、安心感と安定感があります。ここまで進んできて、ここからも進んでゆく、という前進の手応えがあります。いつでも「今どこまで来たか」を確かめられます。それは、砂漠でオアシスを探し回るようなこれまでの前進とは、全く違った動き方です。完全に安定軌道に乗るには、まだ少し時間がかかるかもしれませんが、2024年はその入り口です。

今まで求め続けてきたものとはまた、別のものを求め始めるのが2024年です。ですがもしかすると、より大きく変わるのは「何を求めるか」ではなく、「求めるものを手に入れるために、どう行動するか」なのかもしれません。


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