2024年
『ムーミン谷の冬』という作品があります。ムーミンたちは冬眠するのですが、なぜかムーミンだけがある冬、目を覚まして眠れなくなってしまうのです。
冬のムーミン谷は夏とは全く違っていました。仲間たちや「ご先祖さま」がムーミンの家に勝手に集まってきて、ジャムの備蓄などを食べてしまうのでした。
厳しい季節にみんなで寄り集まり、肩を寄せ合って生きていく時には、「協調性が大切である」と考えられがちです。でも、本当はみんなで集まらなければならない時ほど、それぞれの自由や独立性、個性が最大限に尊重されなければならないのかもしれません。みんなで呼吸を合わせようとすればするほど、全員が息苦しくなってゆくからです。
「みんなで」いる時ほど、それぞれのバラバラさ、自由さが大切にされるべきです。一方、みんながバラバラにいられるような時には、「みんなで集まり、協調的に行動する」ことが求められます。でなければ、全員が本当に孤独になってしまうからです。
2024年の牡牛座の世界は、冬のムーミン谷、あのムーミンの家のようです。みんなで集まって、一緒にいるのです。ゆえに、それぞれがどれだけ自由に生きているかが重要です。集まっているからといってお互いがお互いに「協調」「善行」を要求し、ダメ出しばかりして攻撃し合っていたら、苦しくて仕方がありません。全員がある程度以上に自分勝手にできなければ、集団は破綻するのです。
もし誰かが不機嫌そうでも、一緒にいるなら、その胸には何かしらあたたかな意志があります。何も褒め言葉を言わなくても何度も来てくれるなら、きっと気に入ってくれています。2024年は少なくとも、そんなシチュエーションが多いようです。
言葉尻だけを捉えてしまうと、無用の誤解が生じます。2024年、あなたが周囲から受け取る好意、ポジティブな思いは全て、「実質的なもの」に表れます。賞賛よりも報酬に、愛想笑いよりも触れられる体温に、その思いが表れます。
アンケート調査の結果と、実際の消費者の動きは、大きく異なることがあるそうです。アンケートではみんながヘルシーなメニューを希望しているのに、実際に売れるのは高カロリーでボリュームのあるものだった、といった現象が起こります。声の大きな人たちの言葉は、必ずしも集団の総意を表してはいません。誰も褒めてくれないのに、ものすごくよく売れる商品があったりします。逆に、素晴らしく高い評価を受けていながら、実はほとんど誰にも愛されていない、といったものもあります。
愛は評価とは違います。時に、人は自分がそれを愛しているということを恥じ、隠しながら愛していることがあります。ツンツンしている人の心の中にどんな深い愛情が渦巻いているか、表面からは誰もわからないのです。
牡牛座の2024年は「実」の年です。木に実る果実の数が、「声」や「空気」よりずっと確かな真実を告げます。
反応は薄くても、自ら行動することが可能です。そして行動すれば、巨木に星の数ほどの果実が実ります。それが全部、自分のものになります。
秋にどれほどの実がなるか、春にはハッキリとはわかりません。リアルタイムで見えていること、聞こえていることが全てではありません。むしろ見えないところに育ってゆく「実体」こそが、あとあと認めうる「全て」です。
牡牛座の人々は実際、こうした物事のカラクリが、よくわかっています。人間の愛がどこにあるか、真に自分を満たす果実をどう手に入れられるか、そのことが直観的に、誰よりわかっているのです。2024年はその知見をフルに活かせます。みんなが幻を追いかけて右往左往しているような時でも、あなただけは実体の世界に踏みとどまれます。そんなあなたの力を、この年は周囲の人々も、大いに頼ってくれるはずです。