2024年
どこにでも行けるということと、どこにも行けないということは、時に、似ています。
道は制約です。他の場所ではなく道の上を歩け、という制限です。でも、その制限があるからこそ、私たちは歩み続ける意志を保てます。
たとえば完全な夜の闇の中では、道は見えません。ゆえに、どっちに歩み出せばいいか、容易には決められません。夜にはどこも同じような風景で、どんなに移動しても世界全体が閉ざされ、自分を受け入れてくれる場などないように思えます。
なんでもできる、完全に自由にやれるということは、時に、手掛かりも手応えもなく、進んでも進んでも同じ景色が広がっている、という状況を意味したりします。
どこに行っても同じ景色なら、やがて、進む意欲が失われます。それは、あくまで夜明け前の状況です。夜歩く世界と、夜が明けてから歩く世界は、全く違っています。朝の光が浮かび上がり、夜の闇が破られると、世界は劇的に変わります。
まず、そこに道が見えるようになります。暗闇に隠されていた「そこにあったのに見えなかったもの」が一斉に姿を現します。人々が表に出てきて、家の窓や店の扉が開かれ、「意味」が浮かび上がります。不安が吹き飛び、呪いと金縛りが解け、今度こそ本当に、自由に動けるようになります。
夜の間に壊した扉は、ちゃんと「外界」に通じていたことがわかります。光が射し込んできて初めて、それがわかるのです。
2024年の双子座の世界は、遅くとも初夏、そんな「夜明けの光」に照らされます。うっすらと白い黎明に包まれただけで、嫌な予感も得体の知れぬ恐怖も、驚くほど簡単に消えていきます。妄想が妄想だったとわかり、幻影が幻影だったとわかります。
2024年は「誰かが来る」年です。または「誰かのところに行く」年です。互いの間に結びつきが生じ、互いのことを無視できなくなります。
忘れられなくなり、いつのまにか相手に対し、責任を感じ始めます。人と人とが一対一で結びつく、その繋がりの最もシンプルな、基本的な力が作用します。これもまた、ひとつの「黎明」です。この繋がりが朝日のように、全ての迷いと不安を吹き飛ばしてくれます。
意識を現実に引き戻し、そこにあらゆるものが「ある」ことを教えてくれます。
世界が自分と無関係ではないこと、相手の向こうに広がる世界の全てが自分と結びついていることを、確認できます。
太陽の光はこの先、どんどん強くなっていきます。光の中で世界と自分を、再発見し続けるレールに乗れます。