今年の占い

2024年

樹木は、移動できるでしょうか。この問いには、様々な答えがありそうです。たとえば、動かないように見える大地も、地震やプレートの移動などで年年、僅かに動き続けています。根を張っている大地が少しずつ動いているのですから、木々も動いている、と言えそうです。

彼方から風に飛ばされてきた種子が地面に落ち、うまい具合にその種から芽が出て、地に根が伸び、いつか大樹に育って、さらにその木が落とした種から芽が出て、その木が林となり、森となります。人間や動物の動き方とはだいぶ違いますが、自分の仲間を増やして遠くまで広がることは、「移動」と考えられなくもありません。人間が枝を切ってそれを挿し木にし、他の場所に植え替えることも、木々にとっては「移動」なのかもしれません。果実を食べた小鳥が遠くまで種を運んでゆくことも、「木の移動」と考えられます。人間や小鳥を、木が利用しているのです。

このように、どこまでも遠く移動していく力は、どこから生じるのでしょうか。最初の樹木が地に根を下ろし、根から吸い上げた水や養分、その場で太陽の力を受けてつくったエネルギーから生まれます。人間が考える「動力」とは全く違いますが、果実の甘さや赤さもまた、小鳥や人間を利用するための「力」だと解釈できます。

もしかしたら人間にも、そんなところがあるのではないでしょうか。どんな旅人も人生のどこかでは、一時的にある場所に根を下ろし、大地から養分を吸い上げるように、そこでなんらかの力を育み、貯えます。人生のひとつの季節には、ある場所に腰を落ち着け、彷徨いの果ての「自分の在処」を見出します。

長い人生の中で、ある場所に根を下ろすことは、一時的な現象です。根を下ろしたその場所から、いつかまた離れてゆくことになります。

もちろん、生まれてから死ぬまでずっと同じ場所で生活していく人もいますが、今の時代はむしろ、そのことが実現しにくいのかもしれません。多くの人が病院で生まれ、病院で死ぬことを考えても、「ひとつの場所から生活が一切動かない」という生き方は、現代社会ではレアケースだろうと思います。

2024年から、蠍座の人々はある場所に根を下ろします。ただひとつの場所に住むということに留まらず、その場所、その土地と自らを融け合わせ、混ぜ合わせ、渾然一体となり、時には「自分」という個人を見失ったように感じられることもあるかもしれません。

「土地」は物理的な場所だけを意味しません。その場所に生きる人々、その場所に築かれているコミュニティ、その場所の歴史、事物、物生り、生起する出来事の全てが「その土地」です。

その土地からいずれ離れる時がきても、その離れ方は、たとえば樹木が種子や挿し木で移動するようなやり方なのかもしれません。もとの木はそこに生きたままで、「自分」を遠い場所まで拡張していく、ということなのかもしれません。

あるいは挿し木や種子に「自己」の全てを乗せて、古い木は枯れるに任せるような移動の方法もあるでしょう。いずれにせよ、そこに根を下ろすことは、未来の自由な移動を妨げはしません。ひとつの世界と一時的に、徹底的に一体化したところで、未来の希望は奪われないのです。

2024年は、蠍座の人とある「大地」の融合のプロセスが、始まる時間です。2043年頃までをかけて、蠍座の人々はその場所と深く融合し、互いの境目がわからなくなるほどに同化します。

その経験から、あらゆる人生の養分を吸い上げます。その先で移動するために必要なエネルギーを盛大に生成します。この養分の吸い上げ、このエネルギーの生成を可能にするのは、エモーションです。

人と人、人と世界、人と事物との深遠な心の結びつきこそが、あなたがこれから伸ばしてゆく根であり、枝葉です。


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